縛鎖−bakusa−

 


「かっ…はっ……助け…お願……」



彼女は膝から崩れ落ちた。

崩れ落ちた事で水谷徹の手が首から外れた。



それでも恐怖に囚われる彼女は、白目を充血させ涙を浮かべ、

首を掻きむしりながら床をのたうち回る。




「先生、水谷徹は望んでいます。

あなたが自らの手でそのノートを公表する事を」



「うっ…くっ…」



「どうしますか?

彼の強い怨念に恐怖死するのと、ノートを公表して過ちを償うのと、どちらを選びますか?」



「ノート…お願…助け…」



「ノート?
ノートを公表するのですね?」



「する…するから…苦し…」





私は彼女が手放したバックを掴みチャックを開けた。



ごちゃごちゃと物が詰め込まれた中に、一冊の青いキャンパスノートを見つける。



これが水谷徹の最後のノート…