縛鎖−bakusa−

 


再び激しい雨が傘を叩く。



ザアザアと打ち付ける雨。

景色が霞む程の大雨だが、そこかしこに居るカレラの存在は感じている。



それらの霊体を無視しながら水谷徹に会いに行った。




―――――…

日曜日の校内はひっそりとしている。



体育館や音楽室の方に行けば部活動の生徒達で賑やかだろうが、

私が向かう先は渡り廊下の先の旧校舎。

私以外、誰の用事もないだろう。



旧校舎の入口の風除扉を引っ張って開け、中に体を滑り込ませた。



ギィィ…バタン。

分厚い鉄の扉が重たい音を立てて閉まる。



まるで地獄の門か、それとも幽霊屋敷の扉か…

そんな不気味さを感じるのは暗く淀んだ空気のせいか…



ヒタヒタと廊下を歩き、以前水谷徹と話しをした空き教室に行った。



ガラリと扉を開け中に入ると、すぐに鎖の音がした。



黒板からニュッと右腕が生える。

黒い髪、淀んだ目、青白い唇が見え…

最後に足首に巻かれた鎖が現れた。



ジャラリジャラリと鎖を鳴らし、彼は私の正面で立ち止まった。