そんな風に思ってしまった時、頭に響くのはやっぱり亡き母の言葉。
「千歳、彼らのお願いを聞いてはいけないよ。
お願いを聞いて一人成仏させるごとに自分の命が一年短くなる。
きりがないのよ。
悲しい魂は溢れそうな程の数。
それを救い続けていたら……
シヌのはジブン…」
ぶるりと身震いした。
怖い…怖い…やっぱり怖い…
私が亮介君と話しをしているのを見ていた他の浮遊霊達が群がり始めた。
ひやりとした彼らの手が背に…肩に…腕に…頭に…触れてくる。
『オネガイ…』
『タスケテ…』
『ハナシをキイテ…』
口々に訴える憐れな魂…
鳥肌が立ち体が震えた。
鞄と傘を握りしめ駆け出した。
トンネルを抜け暗い色の狭いアスファルトの道を走り、無我夢中で自宅を目指す。


