縛鎖−bakusa−

 


幼い子供ながらに私は瞬時に理解した。

彼はやり残した事がある。



何の隠し事をしたのかはまだ聞いていないけど、それを打ち明けて謝らないと彼の鎖は外れない。



トンネルに繋がれた重たい鎖は…

きっとやり残した彼の想い…



願いを聞いてあげたいと思った。

彼の鎖を外してあげたいと思った。



「分かったよ」と言おうとして口を開き掛けた時…

私の体はふわりと浮いた。



誰かがランドセルごと後ろから私を抱え上げたのだ。



びっくりして首を捻り後ろを見ると、焦った様な母の顔。



マズイと思うと同時に、いつも繰り返し言われ続けた母の言葉が頭に流れた。



「彼らと目を合わせたらダメ。会話をしたらダメ。

彼らの想いを背負って成仏させたら…

お祖母ちゃんみたいに…
シンジャウヨ……」