9月。

運動会。


私が一番苦手な行事。

100m走とか持久走とか、一体誰が考えたんだろう。

運動会の練習なんて、大嫌い。
小学校の時から、憂鬱で仕方がなかった。




けれど、今年の運動会は違った。

私でも、やればできるんだっていうこと。
運動会が、こんなにも楽しい行事だっていうこと。

それを実感させてくれたのは、上原くんだった。






あの海から、矢島くんとはぎこちない。

もちろん、キスの話は一切出ない。
お互いになんとなく距離を置いていた。



私は、矢島くんにさよならを言えなくなっていた。

さよならを言う怖さより、何も言わない怖さを選んだ。


どうにもならない上原くんへの想いは、心の箱にぎゅっと閉じ込めた。