「…大丈夫?」



霞がかかったような、ぼんやりとした景色。

白い部屋。


俺を覗き込む誰か。



…上原さん?
来てくれたんですか…。

ああ…俺、嬉しいよ…。



伸ばした手をギュッと掴まれ、ほっと安心した。

やっと、やっと来てくれた…。





「すごい汗…。」


俺の額に、冷たい感触。

薄桃色の笑顔にかかる霞が晴れ、その表情が明らかになった。



「えっ…亜紀…?」


「そうだよ。心配だったから、見に来たんだよ。」


亜紀はそう言って、俺の手を握りなおした。


「うなされてたよ。変な夢でも見た?」


「…いや…大丈夫。」