見つけてくれて、ありがとう…か。

よかった、見つけられて。


私は、教科書のページに唇を寄せた。

インクの匂いが、鼻先をかすめる。

ずっとそうしていると、上原くんに包まれているような気がした。


目を閉じて、深呼吸をする。

会いたくて、涙がこぼれた。









こうして、上原くんのお手紙の謎は解け、私はちゃんと借りを返すことができた。

この先もずっと、何度も開いて読み返すことになるだろう。



あの日の、柔らかな風の匂いとともに。

変わらない想いが、あの場所に、そして、私の心にある限り。














「あなたを知りたい」
番外編「上原くんのお手紙」


~end~