由里子さんは、携帯電話を取り出して、私の目の前で電話をかける。



「あ…お母さんですか?はい、海斗くんに会えました。今から帰ります。はい、よろしくお願いします。」



電話を切ると、私に向かって言った。


「じゃ、そう言うことですので失礼します。」



「ちょっ、待てよ、俺はまだ…。」



「まだ、何か従妹さんと話があるの?だったらここで済ませてくれる?」



上原くんは、ぎゅっと目を瞑った。

そして、大きく深呼吸して目を開ける。



「…いや…もう、話は終わったよ…。」



上原くんは私とは目を合わさずに、由里子さんに行こうと言った。


由里子さんは、上原くんの腕に自分の腕を絡ませる。



チクリと胸が痛んだ。

だけど、由里子さんの腕のギブスを見ると、もう、どうすることもできなかった。