修学旅行から戻ると、私の初めてのお付き合いが始まった。
私の初めての彼氏、矢島くん。
彼と付き合うことになって、分かったことがある。
矢島くんは、ウワサよりもずっとずっとモテるってこと。
確かに矢島くんは、誰が見てもかっこいい。
バスケ部の部長で背も高いし、明るくて誰とでもすぐ仲良くなれる。
それに、笑顔がとっても優しいの。
矢島くんは、後輩からよく告白される。
今日も昼休みに、2年の女子が来た。
「矢島先輩いますかー?」
「俺?」
「すいません、ちょっとこっちに来ていただいていいですかー?」
「なに?」
廊下に連れ出されて数分。
矢島くんが戻ってきた。
私の机の上に、ピンクの封筒を置く。
「もらっちゃった。」
私の顔を見て、にっこりと笑う。
「すごいね。モテるんだね、矢島くん。」
私の受け答えに、明らかに不満そうな顔をする。
「ねえ、上原さんはさ、やきもちとか妬かないの?」
「やきもち?」
「うん、やきもち。」
「あ、どうかな?」
私がそっけなく言うと、矢島くんはちょっと悲しそう。
「俺なんか、上原さんが他の男と話してるだけでもいやなのに。」
「…え、そうなの?」
「そうだよ。他の男と話さないでよ。」
「え?そんなの無理だよ。」
矢島くんはムッとした様子で、教室を出て行った。
他の男子と話さないでって言われても…。