「連絡しなくてごめん。寮だし、電話とか、なんて言っていいかわかんないし…。」


髪を掻きながら、話す姿はあの頃と変わっていなかった。


「ううん、全然大丈夫…。」

上原くんがそこにいるだけで、胸がキュンと音を立て、身体が熱くなる。

泣きそうになる。
嬉しすぎると、勝手に涙が溢れてくる。



そして、少しだけお互いの高校の話をした。


「結、ごめん、俺、もう行かなきゃ…部活、抜けてきたから…。」


「あ、うん、ありがとう。」




「またな。」

上原くんは自転車に跨り、高校に向かって走っていった。

見えなくなるまで見送ると、はーっと長く息を吐く。


緊張した…。

ドキドキがとまんない。

少し大人になっていた上原くんが、眩しかった。

やっぱりやっぱり、大好き。