私は、一歩も動けなかった。 涙はもう出なかった。 唇に残る、冷たいガラスの感触。 それが、私の初めてのキス。 風で吹き飛ばされた花びらが、私の手の中に舞い降りた。 私はそれをそっと握って、目を閉じた。 こんなにも、あなたが好き。 まだ身体に残る、上原くんの体温。 忘れたくなくて、自分で自分を抱きしめた。 私の初めての恋。 初恋の相手は上原くん、あなたでした。