「上原くん!」

びっくりして大きな声が出る。


「お前、何してんだよ、こんなとこで。」


上原くんは、ポケットから丸めたティッシュを出して、私にぶつける。


「なにって…綾香たちとはぐれちゃって…。」

私は、上原くんの投げたティシュを拾って投げ返す。


「ああ、綾香たちなら鳥居のとこで会ったよ。」


上原くんは、私の投げたティッシュをひょいと避ける。

地面に落ちたティッシュを拾い、パンパンと砂を払ってポケットにしまった。


「なんて言ってた?」


「お前を探してるって言ってた。」


「どうしよう…。」

心配になって下を向いた。


「お前、携帯は?綾香が全然繋がんないって言ってたぞ。」


「急いできたから、部屋に忘れたの…。」



「相変わらずだな、お前って。何のための携帯だよ。」

上原くんは、私を見て優しく笑った。