自転車の後ろに乗せてもらって、家まで送ってもらった。

まだ家は暗く、誰も帰ってきてはいなかった。


「今日は、ごめんね。」

矢島くんが、ぽつりと言った。


「ううん、私こそ、迷惑かけちゃってごめんね。あ、そうだ、忘れるところだった。」


私は、カバンから小さな包みを出した。

「これ、誕生日プレゼント。渡すのが遅くなって、ごめんね。」


「もらっていいの?ありがとう。」

矢島くんは、小さく笑って受け取ってくれた。


「俺もこれ、上原さんに。」


そう言いながら、コートのポケットから小さな紙袋を出して、私にくれた。


「なに?」


「クリスマスプレゼント。海で買った。」


「え?うそっ?知らなかった…。」

「そりゃそうだよ、分かるように買ったら、つまんないでしょ?」


「う、うん…でも…私は何も…。」


「いいの、俺が記念に買いたかっただけだから。」


矢島くんは、いつもの明るい笑顔を私にくれた。