私と同じ袋を持った聖は、木村さんと楽しげに会話をしながら私の元へ歩いて来る。


「いずちゃん、お待たせ」


「うん」



微かに私が頷くと、聖が木村さんにさよならを言いながら私の隣に来た。



「行こっか」


今日の聖の服装は、いつもより大人に見えた。

黒のコートに、お洒落なシャツ。
それにスリムなチノパン。

前まで、パーカーやジーンズを履いてたのにイメージが全く違う。




「今日の聖、なんか雰囲気違う」


「そう?」


「うん、なんか大人」



私が真面目に言うと、聖はぶっと吹き出した。



「大人って、俺もう三十だよ?」


「あ、そか。いや、そうだけど」


「でも、そう言われると嬉しいわ。
顔童顔だからね」


「…間違いない」


「否定しろよ」


「いや、まじだし」



またけらけらと聖が笑う。

先日メールを貰った時は、もうこんな風に話せないと思ってた。



だから、本当に嬉しくなる。




「いずちゃんに似てる子見かけてさ、まさかなーとメールしたら、そのまさかだったよ」


「声かけたらよかったのに」


「間違えてたら嫌じゃん。
あまり目よくないし」