レンタル彼氏【完全版】

「…俺ね、いずちゃんのこと好きだからさ。
いずちゃんが、本当に迷惑ならもう会わないよ」


肩を落として、泣きそうになりながら……。


…………って、まじで泣いてる?


「…いず、ちゃんっ、お、れとっ会いたく、ないっ?」


「………………………」


こんな泣きながら言われて、断れる人がいたら知りたい。


「……………会う、だけならいいよ」



あー、会わない気でいたのに。
これじゃ、断れない。

私に本気なのか、わからないけど…。


たまーに会うぐらいならいいかな。
本当、たまにね。


聖はぱあっと顔を明るくさせて、笑顔になった。


「いずちゃん、よかったああ」


「………あーはいはい」


聖って何者なんだろ。
こんな、得体の知れない奴滅多にいないよ。

こんな謎が多いなんてさ。



伊織みたいじゃん。



ははっ。
でも、聖は伊織と全然違うもんね。



無邪気な感じとか、伊織にはないし。
聖が太陽なら、伊織は月みたい。


だけど、私はそんな伊織のことが大好きなんだ。