「………ん……」


ぼーっとする意識の中、うっすらと目を開く。
見慣れない、薄汚れた天井。


……ここ、どこ。



……………。




段々、意識がはっきりしてきて、私はガバッと体を起こす。


「い、伊織!!」


伊織は?

どこに行ったの?


少し、くらくらする。


だけど、伊織を一人にしたくない。
放っとけない。


ふらふらする体を持ち上げながら私は部屋中を歩き回った。
お風呂も、トイレにもいない。


………帰ったのかな。


諦めかけてベッドに座ろうとした時。


ベッドのすぐ横にあった机の上に置いてあるモノが目に入った。


お金と、……………携帯?

……これ、伊織の…?



どういう、ことなの?

張りついたように、足がそこから動かない。