レンタル彼氏【完全版】

身震いがした。
まだ、“伊織”になりきれてない俺は、泉を好きな“伊織”であって。


心では万里さんを拒否していて。


胸がぐっと痛くなった。


それから彼女は、俺で楽しもうとまた不適な微笑みを見せる。
と、同時に彼女の携帯が鳴り響く。


「ちっ」


舌打ちしながら彼女は携帯の画面を見て、再度舌打ちをする。
しかめっ面のまま携帯に出た。


事務的で、冷たく話す彼女からは威圧的な態度しか見受けられない。

雑誌や、テレビなどでは彼女を煌びやかに宣伝してるけど、実際はこれだ。


噂で彼女の言葉が原因で辞めた社員も多数いるらしい。

だけど、そんな人達に向かって彼女はさらっと言うのだろう。


「お遊びならよそでやって」

と。