「……比乃はあのたらしのこと好きなの?」
たい焼きを食べ終えた刹はパッパッと手をはたく。
「ば、馬鹿!そんなわけないでしょ!?」
「だってメールしてるし」
「そ、それは先輩だもん!返さなかったら失礼じゃん……」
私はそうぶつぶつ言いながら携帯をしまう。
メールをするだけで好きかどうかなんて、決めつけ過ぎだよ……。
「大体室谷先輩が私のこと眼中に入れるはずがないよ」
どうせ刹の言う通り、ブスですもんねーだ。
すると、
刹は口をむっとへの字にさせて、私の耳をきゅっとつまんだ。
「めんどくさい奴ー」
そう言いながら、パタリと私の両耳を塞ぐ。
「ちょ、刹!?何するのよ!」
「―――……」
こちらをじっと見つめ、口を動かす刹。
しかし、自分の声が少し重なって何を話したかは聞こえなかった。
……え…、
い、いきなりなんなの……?
「せ、刹?さっきなんて言っ、」
「帰ろ」
私の言葉に聞く耳を持たず、刹はマイペースにスタスタ一人で歩き出してしまった。
い、いやいや!
めっちゃ気になるんだけど!?

