「比乃嫌がってんだろ。放せ、この女たらし」




そう静かに吐き捨てた刹。



お、女たらし!?

さっきから先輩に向かってこの人はなんて失礼なこと言ってるの!?






「……たらし呼ばわりは心外だなぁ」







室谷先輩はそう笑うと、不意に私の耳元へ顔を近付けた。


またもや甲高い悲鳴があちこちから聞こえる。







「…携帯貸して?」





私はきょとんとしつつ、先輩に言われるがまま携帯をポケットから取り出した。

先輩は私から携帯を受け取ると、スムーズに画面をタップしながら何かを操作している。




「せ、先輩?」


「おい!お前何してんだよっ」




ズンズンとこちらに向かってくる刹を無視して、先輩は私に携帯を返してくれた。




「携帯に俺の連絡先登録したよ。じゃあ、また連絡するね」





室谷先輩はそういうと、私とみっちゃんに別れを告げて食堂を去って行ってしまった。





「……良かったね比乃」





ポンッと私の肩を叩いて頷いてるみっちゃん。




よ……

よくないよ……。


全然よくないよ……。





「比乃っ」






キッと私を睨む刹。

そんな刹に思わずビクッとしてしまった。






「ばーか!」







刹はそう声を張り上げると、ポケットに手を突っ込んだまま食堂から去って行った。





え。


私どうなっちゃうの?