「今日は転校生がいるぞー」
……お約束。
私は一瞬にして顔が青くなったのを感じた。
「柴咲刹くんだ。柴咲比乃の弟だから、柴咲、よろしくな」
先生はそう言って私の顔を見ながら刹の肩を叩いた。
ど、
どうりで隣の席が空いてると思ったああああ!!
全ては先生の策略か…!
簡単に自己紹介を終えた刹は、無言で私の隣の席に座る。
教室はざわざわと騒いで刹を注目していて。
「柴咲の弟!?」
「わ、ちょっとかっこいいかも」
「髪真っ黒じゃん」
「ほんとに柴咲さんの弟?」
そんなクラスメイトの声が耳に入ってくる。
ちらっと刹を横目でみると、ひどくだるそうにあくびをしていた。
……幸先不安どころか、絶望しかない。

