「…あら、随分かかったのね」
1階に下りてリビングに出て行くと、お母さんが丁度朝食の支度を済ませていた。
「刹なかなか起きなかっただろう」
相変わらず爽やかに笑う佐伯さん。
私は大きな溜息をついた。
「なかなかってもんじゃないですよー…。朝から散々でした……」
私はそう言葉を漏らしながらテーブルにつく。
今朝の朝食はトーストにベーコンエッグ。
わー!美味しそう!
「あ、そうだ比乃。刹くんを学校まで案内してあげてね」
「っえ!?」
トーストにかじりつこうとしていた私は驚いてお母さんを見上げた。
「だって刹くん転校して来たばっかりじゃない。よろしくね」
そ、それはそうだけど……。
またあの刹と二人になるの…?
「あ、刹おはよう」
「刹くんおはよう」
お母さん達が私の背後に声を掛けて、刹が2階から下りて来たことが分かった。
「はよ」
そう短く挨拶を返すと、刹は私の隣に座った。
「……」
「……んだよ」
私が刹を睨んでいると、刹はめんどくさそうに私を横目で見る。
「…別に」
「いただきまーす」
私の答えなんか待ってなかったように、刹は声を上げてそのまま朝食を食べ始めた。
むむむっ……。
…なんか、急に突き放された気分。
ほんとに意味不明っ。

