「ちょっと、転校早々遅刻するよ」





私は思い切ってドアを開けて中を覗いてみた。





「……」





案の定、刹はまだ寝ている様子。


寝相が良くないのか、掛け布団を抱き枕のように抱えて寝ていた。



それか、もともとああやって寝てたのかも。





「刹ー!」





部屋の入口から起こそうと試みたけど、刹は全く起きる様子がない。



このままじゃ私まで遅刻する……。






「刹ってば!」





遂に私は刹が眠るベッドに近寄った。

肩を揺らして何度も声を掛ける。






「……っせぇ」





そしてやっと刹の重たい目が開かれた。

眉間にはこれでもかってくらいのシワが寄っている。



起きた!





「刹!朝!」


「……」






睨むようにじっと私を見つめる刹。

寝呆けてるのかな。







「…へぇーい」






すると突然、

刹は抑揚のない声を上げながら、抱き抱えていた掛け布団をガバッと開いた。



そして私が反応するより早く、掛け布団ごと私を包んで抱き寄せてきたのだ。