* * *
屋上は涼しい風が吹いていて気持ち良い。
柵にもたれかかって、溜息をつく。
…どうしたもんかな。
「あれ、藤枝?」
その声に振り返ると、屋上の扉のそばに佐久間くんが立っていた。
「珍しいね、一人でこんなとこに」
「佐久間くんこそ」
佐久間くんは爽やかに笑ってみせる。
残念ながら比乃はいないよ。
「…なあ藤枝、なんかあった?」
「…え?」
「いや、なんか若干暗いから」
そこまでか。
…まあ佐久間くんは同じような境遇だし、ちょっと言ってみようかな。
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