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「そういえば比乃ちゃんって、裕馬のことキャーキャー騒がないのな」
和也は前髪をくくりながら言う。
「…うん」
だから話し掛けられるんだけどね。
比乃ちゃんがキャーキャー言うところも想像出来ないし。
「なんか一緒に寝たとか聞いたけどあれまじなの？」
「まじも何も、俺が聞いたんだし。仲良いよーあの二人」
ちょっと仲良すぎだけどね。
「ねー裕馬ぁ〜、あの女の子誰〜？」
クラスの女子が俺に寄って来た。
…また。
「んー、お友達」
「やーんなんであんな子と〜？」
「あの子のこと悪く言わないで欲しいなー」
「…うー。裕馬感じ悪い〜」
そう言って向こうへ言った女子。
俺は大きな溜息をついた。
「モテる男は辛いね☆」
「うるせーってのー」
ああいうのならまだいいけどね。
「でもそんな裕馬に気に入られた比乃ちゃんはもっと大変だろうなー」
「……」
「陰で脅されてたりしなきゃいいけどー」
その心配はいらないみたいだけどね。
なにせ、刹くんが比乃ちゃんのこと守ってるんだから。
本当は俺がしようと思ってたけど、
俺より刹くんのがいいと思っちゃうなー。
悔しいけど。
