同居相手は黒猫くん







——「たらし臭い」







教室に帰り、刹に絵の具を渡すとそんなことを言われた。










「えっ?」



「たらしに会っただろ比乃」





拗ねたように刹は言う。


な、なんで分かったの。










「…偶然廊下で会って、絵の具頂いたの」



「ふーん偶然ねーー」










…そういえば。



室谷先輩はどこ行こうとしてたんだろ。




引き止めた形になっちゃったな…。

申し訳ないです…。








「比乃、俺頑張ってる?」



「へ?」



「準備」



「…う、うん。すごい頑張ってるね!」



「うぇーい」



「……たい焼きでしょ…?分かってるよ」



「うぇーい」















抑揚なく無表情でそう言う刹。



全く…。

どんだけたい焼き好きなのよ。




まあたい焼きでここまで働いてくれるから全然いいけど。