練習開始の時……
みんなで作った輪から、佑真が一歩前へ出た。
「みんな、今まで本当に迷惑をかけて――」
「そーゆー堅苦しいのは抜き抜きっ!どうだ1年、これが噂の豪腕ピッチャー早瀬佑真だあっ!」
真面目に挨拶をしようとしたところで、ムードメーカーの沢村君が割り込んだ。
自分の所有物のように佑真を紹介する沢村君に、みんなが吹き出す。
佑真もたくさん苦しんだ。
今更言わなくても、みんな分かってるから……
「……ということで、マジ気合入れて頑張るんでよろしくっす」
「「う――――っす!!」」
3年生はもちろん、下級生たちもみんな笑顔。
瀬戸君も佑真の肩をバシバシ叩いて喜びを表現していた。
帽子を取った時に見えた佑真の髪の毛は、短くなって色も元に戻っていた。



