ランニングを終え、壁に向かって軽く肩慣らしをしていた。


「……、」


野球をする相手のいない佑真は、今は壁やネットに向かって投げるしかないんだ。


今の佑真の現実に、罪悪感と後ろめたさの波が襲いかかる。



……ごめんね……佑真……ごめんね……




あたしは佑真のスポーツバッグやドリンクが置いてあるベンチの近くで、話しかけるタイミングを伺う。


その間も、突き放されるかもしれない恐怖で極度の緊張があたしを取り巻いていた。






ある程度球を投げ込んだ後。


水分を補給しようとしたのか、不意に佑真がこっちに歩いてきた。


「……っ」


すぐにあたしに気づいて止まる足。


マズイところを見られたような顔。


明らかに動揺は隠せていなかった。


「なっ…なんでこんなとこに…」


呆然とあたしを見つめている。