「けど、そのおかげで有言実行できたわけだし」
佑真は得意げにニッと笑った。そして、
「俺と瑠依の夢は、あの時に始まったんだよな」
懐かしそうに目を細めた。
あの約束をした時と同様、夕暮れのグラウンドに2人。
まるであの時に帰ったみたいだった。
だけど、同じくらいだった背丈はとっくに追い越されて。
その約束を果たすのに、長い長い時が刻まれてるのを証明した。
「……うん。長い道のりだったよね」
きっと平坦じゃなかった。
佑真は辛くて悲しくて、野球すら出来ない日々もあったはず。
ここまで来れたのは、まだあたしの知らない並々ならない努力がと気持ちがあったに違いない。
……決して佑真は口にはしないけど。



