「早くよこせ」 佑真がグローブを振ってボールを要求する。 「ああ、ごめん…」 ―パンッ… 「エビはすげえ信頼できる奴だ。男としても、キャッチャーとしても」 「うん」 あたし達は1球投げるごとに言葉を紡いだ。 「だから、ここからが本番だと思ってる」 「…本番?」 「俺達の代で、マジで甲子園狙う」 佑真の言葉に強い意志を感じた。 「うん。あたしも全力でサポートする」 「甲子園を目指すんじゃなくて、甲子園で優勝する」 「……優勝……」