懐かしい…… 不思議な感覚に囚われながら、同じようにあたしも球を返す。 「別に、隠してたわけじゃないんだ……」 肩を慣らすように軽く球を投げる佑真の口から言葉が漏れた。 「………」 ――お母さんのことだ…って、分かった。 佑真がグローブをあたしに向ける。 そこへ向かって、無言で球を返した。 「あのとき…瑠依が泣いててマジ焦った」 ―パンッ… また1球返された。 佑真の瞳があたしを真っ直ぐとらえてドキッとする。