マネになったら、たまにはバッティングさせてもらえるだろうとか、キャッチボール出来るかな、なんて思ってたけど。
そんな考えは甘かった。
日に日に厳しくなっていく城山野球部では、遊んでいる暇なんてなくて。
佑真にすらキャッチボールしよう…なんて気安く声はかけられなかった。
だから久しぶりもいいところ。
「用意はいいか」
「うん」
急いでグローブを手にはめる。
用具倉庫の前で、5メートルほど離れたあたしたちの間をボールが弧を描いた。
――パンッ…
佑真が手首を振っただけの軽い球が、あたしのグローブへ。



