「やっぱあいてた」 佑真の言う通り、鍵は見せかけだけで壊れていたらしい。 「これ、俺居る時から壊れてんだぜ?」 直す気ねーんだなって笑いながらドアを開けた佑真は、ズカズカ中へ入っていく。 何やらがさごそやっていた佑真が取り上げたものは… 「久しぶりにどお?」 そう言って、グローブを投げてよこしてきた。 「えっ?」 佑真の手には同じようにグローブと野球ボール。 「キャッチボールすんだよ」 …キャッチボール…。 それを手にした瞬間、忘れていた感覚が疼きだした。