そのあとは、他のクラスを見学することなく、佑真は外へ出た。
本当に巧真くんのためだけに来たみたい。
「まだいいだろ。もう少し付き合えよ」
そう言って、グラウンドの脇にある用具倉庫に向かう。
何をするのかと思えば、そこに掛けられた南京錠を勝手にカチャカチャいじり出した。
「大丈夫?不審者で通報されたらどうすんのよ」
少し不安になってあたしはあたりを見渡した。
校舎がにぎわっている分、この辺りは忘れ去られたようにシン…と静まり返っている。
だから余計に怪しい。
「へーきへーき、俺はここの卒業生なんだし」
そうは言っても……。



