合宿が終わってちょうどお盆休みが入り。


一週間後、灼熱のグラウンドでは、真っ黒に日焼けした部員たちがいつものように汗を流していた。



「増田先輩、いま空いてたらTバチお願いできますか?」


1年生の部員が、バットを持って近づいてきた。


「うん、大丈夫だよ」


「増田先輩に投げてもらうなんて初めてですね」


「そうだっけ?」


「佑真先輩の専属…ってイメージがあったから、声かけずらくて」


日に焼けた顔から白い歯をニッって出してそう言った後輩に、あたしはなにも言えず苦笑いだけを返した。