救急箱を手に、あたしは佑真の隣へ座った。
「佑真、消毒しないと……」
そう言っても手を出さない佑真の手を強引に取った。
広げた手は、血なのか土なのか分からないけど、沢山汚れてた。
固い手のひらには豆があって、それがつぶれていた。
……全然気づかなかった。
こんな手で、ボールを握るのですら苦痛だったはずなのに。
痛かったよね…。
こんな爆弾を手のひらに抱えてしまった佑真の気持ちを想うと、本当に言葉が見つからない。
自分が出ないと、試合には負けてしまう。
でも、自分が出てもきっと負けてしまう。
……佑真には、それが分かっていたんだ。
だからこそあえて言わずに、佑真なりにマウンドを守ろうとして……



