恋色ダイヤモンド~エースの落とした涙~


そして迎えた4番バッター。


警戒しすぎたためかボール球が先行し、ボールをよく見たバッターがフォアボールを選んだ。



1死満塁。

この夏初めて迎える大ピンチだ。


今度はすかさずエビ君が佑真に駆け寄る。

キャッチャ―ミットで口元を隠し、佑真の肩を抱いて言葉をかけていく。


軽く頷いた佑真の肩を笑顔で叩き、定位置に戻る。



佑真が点をとられるわけない。


そう信じていながらも、なんとなく落ち着かない。


ここまで防御率0の佑真が、得点圏にランナーを進めること事態が珍しい。


3回でこれは波乱の予感がする。


立ち上がりたい気持ちを抑えて、スコアブックをギュッと握り締めた。



――佑真、落ち着いて頑張れ!