男の人の部屋ってこんなもんなのかな。
「あの、これ。」
私は彼に手土産を渡した。
「この間は助けていただいて、本当にありがとうございました。」
「え、いいの?ありがとう。」
彼は紙袋を受け取ると、私を部屋の中央のコタツの方へ促した。
「寒かったでしょ、どうぞ座って。」
彼に勧められ、私はコタツの横の座布団の上に座った。
「待ってて、お茶出すよ。」
そう言うと彼は台所の方へ行ってしまった。
コタツに足を入れる。
あったかい…
「にゃ!!」
!!!!?
コタツの中から猫が飛び出してきた。
な、なに?
「ごめん、飼い猫ののぶ代さんだよ。猫嫌いだった?」
「いえ…ちょっとびっくりしただけです。」
「そう、よかった。はい、これお茶。」
私は渡されたマグカップのお茶を一口飲んだ。
「ちゃんとした自己紹介まだだったね、俺は月元アキハ。」
「私は南夏樹です。」
事前に聞いた話によると、月元さんは私の2歳年上だ。
ずいぶん大人びているけど2歳年上ってこんなものなのだろうか。
ふと吉田直也の顔が思い浮かぶ。
あの男よりずっと月元さんの方が大人びてる。
「吉田さん、聞いたら驚くだろうな。うちに南さんが来てるなんて。」
「え!」
突然吉田の名前を出され、ドキリとする。
心を読まれたかと思った。
「吉田さん、南さんの大ファンでさ。」
「そう、なんですか…」
まぁ嫌という程知ってるけど。


