モニターの中ではライブがクライマックスを迎えようとしていた。


控え室のドアが開き、マネージャーの辻井さんが中に入ってくる。


「そろそろ猫さん達の出番です。…!意識が戻られたんですか?」


露木さんの姿を見て、辻井さんは目を丸くする。


「ちょうどよかった。あなた方もステージを見ませんか?ステージのすぐ近くまで案内しますよ。」


辻井さんは嬉しそうな声でそう言った。


「行こう。」


俺は露木さんの手を引いた。


彼女は黙って頷く。








俺たちは辻井さんに案内され、ステージの裏方にやって来た。


スタッフが忙しそうに猫の準備をしている。


「みんなー!楽しんでるー?ここで、スペシャルゲストの登場だよー!!」


南さんの声と共に、たくさんの猫がステージに駆け出す。


俺たちはその様子をステージの裏方から見ていた。


猫たちがステージに上がったのを確認したスタッフがステージにあったマイクスタンドを片付ける。


そして、マイクもBGMもなしで、南さんは歌い始めた。