もし風見鶏が振り向いたならこの世界は違って見えるのだろうか? 【短編】














「もう少し、一緒にいたいから
その……えっと……。」









僕がしどろもどろになっていると

「うん。私もまだ一緒にいたいなって
思ってた。」

と、
少し照れたように万由利が言った。

僕は今、どんな顔をしているだろうか?
緊張で強ばっている?
それとも
にやけている?

ただ、分かっているのは
僕が何となく振り返ったその先にはーーー

薔薇色の世界が広がっていた。

無機質な改札の風景が
僕を待つ万由利がいるだけで
キラキラと輝いて見えた。

風見鶏にもいつか見ることが
出来るだろうか?
振り返った先にある世界が。

風を受けキラキラと輝く
美しい世界が。

風見鶏は今も
きっと
凛とした姿で
風に立ち向かっているのだろう。

未だ見ぬ我が身を
思い浮かべながら。

真っ直ぐに風を受けて。