恋を知らない人魚姫。


あたしが一番好きな時間は、こうして愛海とお昼を食べる時間。


本当は立入禁止の屋上。

ここは、ふたりだけの場所。


「ね……まだ続いてる?」

少し躊躇いながらも、いつものように愛海は聞いてきた。

“続いてる”っていうのは、クラスメイトの態度のこと。
愛海は別のクラスだから、聞かなければ状況が分からない。

嘘をつく必要なんてなくて、あたしはこくんと頷く。

すると、

「……やっぱり教室とか、みんなのいる所でお弁当食べよう?」

心配の眼差しで見つめる愛海に、首を横に振った。

「このままでいい。あたしと一緒にいると、何言われるか分かんないよ」

「あたしは何言われても」

「構わない」そう続けようとする愛海の言葉を遮るように、また首を横に振る。


「このままでいいの」


静かに……だけど強く、ひとことそう言った。