恋を知らない人魚姫。


「待って」

櫻井くんを追いながら、胸の奥がドキンと跳ねる。

甘いトキメキとかではなく、緊張みたいな……そんな感じ。


だってまさか、水族館に来るとは思ってなくて。

それに、


『名前に海って入ってるし、嫌いじゃないと思ったんだけど』



……とか。

それって何だか……。


頭の中に浮かんだ考え。それを消し去るように、あたしはふるふると首を振った。


あり得ない、勘違い。
だってこの人が、あたしを喜ばせることなんて、するはずない。