恋を知らない人魚姫。


「えっ!? まだ好きって言ってないの!?」

更に大きく響いた声。

あたしは顔を真っ赤にして、こくこくと頷きながら、愛海の口を手で覆った。

「ほめっ、ほめん」

篭った声で謝りながら、あたしの手をぺちぺちと叩く。

仕方なく離すと、

「てっきり昨日伝えたもんだと思ってて……」

「ごめんね」と、謝られた。

昨日、愛海と仲直りして。その勢いのまま言えたら、楽だったのかもしれない。

でも、あの後駅前でクレープを食べて……。

「帰ったら遅くなっちゃったし。やっぱりそういうのって、直接言った方がいいのかなって……」

終わりにつれて、小さくなった声。
それでも何とか言い終えたあたしを、愛海はじっと見つめて、

「海憂、かわいいー!」

言いながら、笑顔で頭を撫でられた。

……恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
まさか自分がこんな状況に陥ることになるとは、思ってもみてなくて。

それに、何だか変な感じ……。

あたしは本当に、彼のことが好きなんだろうか?

愛海が口にした“好き”って言葉も、いまいちピンと来なくて。