「……」
何ごと……?
目の前に立った、クラスメート。
愛海以外の女子に話しかけられるなんて珍しくて、あたしはただ驚いて目を丸くする。
対するクラスメートは、キッと眉を吊り上がらせて。
「先生に起こられたんだけど!」
「え?」
「委員会のことっ!」
あぁ……。
“委員会”
その言葉を出されて、この子が同じ図書委員だったと思い出す。
「勝手に天恭さんとかに手伝わせたりしないでよ! 私の内申点下がったらどうしてくれんのっ!?」
内申点。
高校3年、受験を控えたあたし達にとって、それは大切なものだ。
でも、どうする……って言われても、別にあたしに関係ないし。
それにサボった自分が悪いんでしょ?自業自得。
言いたいことは、山ほどある。
だけどそれを口にしたって、更に面倒なことになるだけ。
分かっているから、あたしはただ黙っていた。
すると、目の前のクラスメートは「はぁー」と、大きなため息を吐いて。
そして、キッと鋭い目であたしを睨むと、
「今日は行くから」
ひと言残し、フンッと背を向けた。