恋を知らない人魚姫。


それは軽く触れ合っただけの、子供じみたキス。

始めての感触は想像よりも柔らかくて。

そして……切ない。


ファーストキスって、きっと女の子の憧れで。

好きな人と心を通わせ、触れるその行為は、本来なら幸せな気持ちで溢れるんだろう。

でも、あたしは……。


自分から言い寄っておきながら、この後どうすればいいのか分からない。

それに目を閉じていると、思い浮かんでしまう……あの子。

胸の奥がどうしようもなく苦しくなって、あたしは唇を離す……けど、

「っ!!」

すぐさま再び重なる感触。

今度は“触れた”じゃなくて、“押し付けられた”。

「んっ……」

彼はあたしの唇を弄ぶみたいに、何度も何度も繰り返し唇を重ねる。

抵抗しようにも頭はしっかりと固定され、自分からは身動きが取れない。

さっきまでとはまた違う苦しさが、あたしの胸を襲う。

背中に回された片腕。
その力が突然強くなって、押されるように、あたしの体は誘導される。