恋を知らない人魚姫。


繰り返す自問自答。

見つからない答えに、片手に持ったケータイのメール画面は真っ白。

踏み込むにしても、引き下がるにしても、あたしにはリスクがある。

どうしたらいいのか分からなくて、そのまま膝を抱えた……時だった。


「何してんの?」


頭上から聞こえた声。

バッと顔を上げると、目の前には櫻井くんがいた。


……え。

今まで考えていたことが、全て吹っ飛ぶ。
頭の中は空っぽ。

状況が飲み込めないあたしをよそに、櫻井くんはその場にしゃがみ込んだ。そして、

「あれ、ご飯食べてないじゃん。どうしたの?」

隣に置いていた、あたしのお弁当を持ち上げて言う。

その行動により再び目が合ったあたしは、ハッと我に返って。

「……べ、別にいいでしょっ!」

彼の手からお弁当を奪い返して、立ち上がった。