「どうしたの?」
教室から廊下に出たあたしは、すぐさま問いかけた。
うちの教室に愛海が来ること自体は、別に珍しいことじゃない。
だけど目の前に立った彼女は、何だか浮かない顔をしていて……。
「何かあったの?」
あたしが続けて聞くと、様子を窺うような目でこっちを見た。
そして、何か言おうと口を開く……けど、その口は声を発する前に一度閉じられ、
「……えっとね、今日お昼一緒に食べれないし、一緒に帰れないの」
“ごめんね”とばかりに、愛海は顔の前で両手を合わせた。
「……」
頭の中が一瞬空っぽになる。
だけどすぐに込み上げて来た、ドロドロとした気持ち。
要件を口に出す前、明らかに愛海は何か躊躇った。それは、
「どうして……?」
軽く笑顔を浮かべ、何も気付いていないふりをして聞きながら、心の中では答えを見つけていた。
――きっと、櫻井くんと一緒にいたいから。



