優しく微笑む櫻井くんと、恥ずかしそうにしながらも笑みを零す愛海。
そんなふたりの姿は、まるで付き合いたての恋人のようで……胸が苦しくなる。
玄関で聞かされた、同級生の噂話。
それに体を固めたのは、あたしに向けられた嫌みがショックだったわけでなく、ふたりが付き合っているように思われていることだった。
あなたと付き合っているのはあたしでしょ。
なのに何で……。
愛海に笑顔を向ける彼の姿を、じっと見る。
すると、隣の教室に入って行く瞬間、彼はこっちを見て笑った。
何……。
まるで馬鹿にした表情。
頭に血がカッと上ったあたしは、やっと自分の教室の中へと入ることを思い出す。
何がしたいのか分からない。
櫻井くんは一体何を考えてるのっ!?
怒りのままに進める足。
だけど本当は、“もしかしたら”って思ってることがある。
でも、そんなこと……認めたくない。
自分の席に着いて鞄を降ろすけど、胸のモヤモヤまでは降ろせなくて。



