それから側のイスに腰を下ろすと、紋瀬に視線を移す。

「こんなに傷だらけになるまでお前を守ろうとするなんて…紋瀬くんは冷静な性格だと思っていたが、どうやら秋文のことになると見えなくなるみたいだね」

それを聞いて、秋文は怪訝そうな表情をした。

「僕のことにじゃなくて、鬼のことになると、だろ」

「ふぅん、そうかな」

息子の言葉に頷くと、

「この子が両親を目の前で亡くして、それからの彼を支えたものは八助さんと秋文…お前なんだよ」

正文は愛おしそうに紋瀬の髪を撫でる。

「…何でそこで僕が出てくるんだよ?」

「紋瀬くんは鬼を憎んでいる。いつか、両親を殺した鬼を捕まえること…それを現実にできるのは秋文、お前しかいないからね。違うかい?」

「…」


(傷ついても鬼を封じろと言い続けたのは、僕の力を信じているから…?)


紋瀬に言われたことをグルグルと頭の中で思い出して、秋文は瞳を伏せた。
.