「才能があれば、とっくにそうしてるよ…」

散々言われるだけ言われて、さすがの秋文もキレる。

「僕だって努力はしたさ。それで素質も才能もないと分かったときの気持ちが、お前に分かってたまるかよっ」

「素質も才能もない…?笑わせるな…努力が足りないんだよ、あんたは」

紋瀬は肩越しに見下したような目を向けた。

「…何?」

「オレが何の努力もしてないと思う?最初から鏡を上手く作れると思ってるのか?坂上の名前はあの土地では重い…だからといって周りから責められ罵られても、それから逃げる訳にはいかないんだよ。それはオレのプライドだ。だから強くなりたいと思う。なって、親を殺した鬼を捕まえたい。そのためには…鬼と向かい合う強さを手に入れるためには、いくら努力したって足りないくらいだ」

「…」

「こんな年下の人間に言われて悔しいと思うなら、あんたも鬼を封じてみろよ」

ぐっと拳を握り締めて、紋瀬はその場を去っていった。
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