「もうすぐ村の夏祭りがあるし、この季節は何かと行事が多いから、毎年夏の大半は九州で過ごすんだ」

すると、その言葉に相田がピクリと反応した。


「夏祭り!?」


「あ、あぁ…」

「夏祭りかぁ…何か、サークルの旅行より楽しそうだな。な、な、秋文。お前ん家に遊びに行ってもいいか？」

子供のようにキラキラと目を輝かせながら自分の手を握る、その見た目とのギャップが激しくて秋文は苦笑する。


(なぜスポーツ系のお前が、夏祭りという単語にこうも反応する…)


その嬉しがる様は、まるで小学生のようだ。

「本当に小さな田舎の村だし、他にこれと言って見るものもないけど…短期宿泊ならいいかもな」

「じゃあ、決定だな!!　ところで夏祭りって、いつだ？」

「７月２８日から３０日の３日間。神社までの詳しい地図はそれまでに用意しておくから、祭り前日に来るといいよ」

「うんうん、分かった。…でさ、お前の家の神社って何が祀られてるんだ？」

学問の神か、縁結びの神か、と聞かれ秋文は即答する。



「鬼」



「はっ？」



「鬼だよ。祀るというよりは、供養に近いかな」

「…はぁ…鬼、ね」


何にあやかりたかったのか、ちょっぴり残念がる相田だった。
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